日本政策金融公庫へ返済不能な場合の対処法
日本政策金融公庫(かつての国民生活金融公庫、通称:国金)は、営利企業の銀行などの金融業者とは異なり、日本政策金融公庫法に基づいて設立されました。
一般の金融業者と比較して、融資の審査も緩く、低金利で借りられることが特徴で、特に起業の際には日本政策金融公庫(国金)からお金を借りて事業を行っている会社企業も多いことと思います(いわゆる創業融資)。
しかし、簡単に借りられるからといって必要以上に借入をしてしまったり、資金繰りが上手くいかず計画通りに収益が上がらなかったりすると、返済出来ない状態となってしまいます。
このコラムでは、債務整理に詳しい弁護士が、日本政策金融公庫(国金)からの借入を返せない場合の影響と解決方法をアドバイスさせていただきます。
1.日本政策金融公庫を滞納した後の流れ
日本政策金融公庫の取立は厳しくないが故に、そのまま放置してしまうということもあるようです。
しかし、数ヶ月も滞納を続けていると、最終的には強制執行(差し押さえ)に発展してしまいます。
(1) 日本政策金融公庫からの取り立て
先述の通り、日本政策金融公庫(国金)は、政府系の機関であるため、厳しい取り立てもなく、督促の電話があったとしても温厚な態度で接してきます。
そのため、「すぐに支払います」などとその場凌ぎのことを言ってしまい、結果的には支払わずに放置してしまう、という方もいらっしゃるようです。
もちろん、数日滞納してしまったとしても、本当にすぐに支払えたのであれば、それ以上は問題となりません。
しかし、滞納が続くと、督促の電話や督促状が頻繁に届くようになります。
(2) 一括払いの請求を受ける
支払いを長期に渡り滞納していると、債務者は期限の利益を喪失しています。
期限の利益とは、「期限が到来しない限りは債務の履行をしなくても良いという利益」のことで、簡単に言えば、この利益が切れることで、分割払いで返済する権利を失うことになります。
よって、債務者は債務の一括返済を要求されてしまいます。
[参考記事]
「期限の利益喪失通知」が届いた後にするべきこと
(3) 強制執行される
この一括請求も放置していると、日本政策金融公庫もしくはここから債権譲渡を受けた債権回収会社(サービサー)から法的な処置を取られることになるでしょう。
(債権が譲渡された場合は、先に「債権譲渡通知書」などが届くでしょう。)
[参考記事]
債権回収会社(サービサー)からの督促は無視厳禁!突然の通知の対処法
具体的には、裁判所に訴訟を提起されてしまい、判決が出て、強制執行が可能になれば、会社の資産(預貯金、売掛金を含む)を差し押さえられてしまいます。
結果的に会社が破産を余儀なくされれば、経営者が会社の保証人になっていた場合、廃業となるだけでなく経営者も自己破産をしなければならないかもしれません。
2.返済できない場合の対処法
では、日本政策金融公庫(国金)への返済が不能となった場合は、どのような対応をすれば良いのでしょうか。
(1) 日本政策金融公庫に相談する
まず、返済出来ない(返済が厳しい)と感じた時点で、日本政策金融公庫(国金)に相談をしましょう。
出来れば、滞納が発生する前に相談することが理想ですが、滞納発生後であっても、支払いの意思があれば担当の方は柔軟に対応してくれるでしょう。
早期に日本政策金融公庫に直接相談することで、返済期限を猶予して貰えたり、分割払いを受け入れて貰えたり、返済計画をリスケジュールして貰えたりする可能性があります(逆に、相談が遅れれば遅れるほど、応じて貰える条件は厳しくなっていってしまうとも言えます)。
(2) 債務整理をする
どうしても返済が厳しく、完済の目処が立たない場合には、会社を債務整理することをお勧めします。
会社の債務整理にはいくつかの種類があり、借金を全て免責してもらった上で会社を消滅させる「破産」が全てではありません。
中には、会社を残したまま返済額を減らす方法(再建型)もあります。
会社に少しでも多くの資産が残っているうちの方が、取れる対策の選択肢も多くなります。
会社の借金を支払えないという場合は、お早めに弁護士へご相談ください。
3.まとめ
日本政策金融公庫(国金)からの借り入れを放置していると、差し押さえなどの強制執行までされるリスクも考えなくてはならなくなってきます。
したがって、「代位弁済履行通知書」や「債権譲渡通知書」などという書面が届いた場合は、出来るだけ早期に、債務整理の専門家である弁護士にご相談されることをお勧め致します。
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