借金返済 [公開日]2018年5月21日[更新日]2024年6月26日

養育費が払えない!借金が理由で離婚後の養育費は減額・免除できる?

「借金が理由で口論となり、そのまま離婚してしまった」「離婚後の生活が苦しく、借金が嵩んでしまった」といった事情があると、その後の養育費が払えないという状況に陥ってしまうことがあります。

離婚後の養育費の支払いは義務になっていますので、払わないまま放置していると様々なリスクが発生します。
よって、養育費が高すぎて払えない場合には、一部免除・減額してほしいと交渉する必要があります。

今回は、借金が原因で養育費を払えない場合の対処法を考えてみます。

なお、離婚後の養育費が払ってもらえずにお困りの方は、下記のコラムをご覧ください。

[参考記事]

離婚相手に養育費の支払い能力がない場合はどうすればいい?

1.離婚後の養育費は支払義務がある

離婚する夫婦に子どもがいる場合には、夫婦のいずれかを親権者と定めます。(2024年6月現在。日本においても数年以内に共同親権が認められる予定です。)
親権者とならなかった親は、親権者に「養育費」を支払うことで、離婚後の扶養義務を果たします。

養育費については、民法766条に「子の監護に要する費用」として定めがあります。
離婚をしても親と子という関係はなくなりませんので、実親は、未成年者である子の衣食住や教育といった生活を保障する生活保持義務を負っています。

養育費の金額や支払い期間については、協議離婚では協議の中で、調停離婚では調停の中で任意に決めていくことになりますが、調停でも決まらなければ審判や裁判で決めることになります。養育費の支払いを拒否したいと思っても、これは原則としてできません。

2.養育費の減額請求ができるケース

このように、離婚して親権はなくなったとはいえ実親であることに変わりなく、養育費支払義務がなくなることはありません。

しかし、やむを得ない事情がある場合などには、養育費の減額請求をすることができるケースがあります。
養育費を免除してもらえることは少ないですが、以下の状況に当てはまるならば養育費の減額請求を検討しましょう。

(1) 離婚後に事情が変わり収入が減少した

離婚した時点では想定外のやむを得ない事情で収入が減少してしまった場合は、減額請求をすることができます。
また、自身のうつ病や家族の病気などで支出が増え、生活が困窮してしまったケースでも減額請求ができるでしょう。

リストラ(解雇)で無職になった、生活保護を受けるようになったというケースでは、減額だけでなく支払いの一時猶予をお願いできる可能性があります。

何にせよ、お金がないからといって借金をしてまで養育費を支払う必要はありません。お金を借りるのではなく、減額や猶予の交渉を第一に考えるべきです。

(2) 相手方の収入が増加した

養育費の額は、相手との経済的なバランスで決まります。前述の収入現象で減額が見込めるのも、相手との経済バランスが変動するためです。

そのため、相手が仕事で昇格・昇給して収入が増加した場合はや、相手が再婚して相手側に経済的余裕が生まれた場合には、こちらが支払う養育費を減額してもらえる可能性があります。

(3) 自分が再婚した・子供ができた

自分が再婚したり、再婚後に再婚相手との間で子どもができたりした場合は、扶養しなければならない家族が増えることになります。

こうなると離婚相手に支払う養育費を下げざるを得ないと言えるでしょうから、減額請求の理由としては十分有効です。

3.養育費の減額請求のやり方・手順

上記のような事情があれば、以下の方法で養育費の減額を請求しましょう。

(1) 相手との話し合い

一度取り決めた養育費の減額をするには、相手方(元配偶者)と話し合いをするのが最も手間の少ない方法です。
相手方と顔を合わせるのが難しい場合や、トラブルに発展する心配がある場合は、この直接交渉も弁護士に依頼することをお勧めします。

新たな養育費の支払いについて合意ができたら、「合意書」を作成しておきましょう。書面化することで、「減額に合意した・合意していない」といった後の紛争を避けることができます。

(2) 養育費減額請求調停(審判)の申立て

養育費の減額の話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に「養育費減額請求調停」の申立てをします。

そこで、調停委員により減額すべき事情について確認がなされます。
減額しなければならない事情をしっかりと主張し、調停委員に認めてもらわなければなりません。ご自身の収入や生活状況が分かる資料をしっかり用意しておきましょう。

明確な事情を調停委員が認めても、相手が応じなければ、調停は審判に移行することになります。
審判では、裁判官により適切な養育費の額が定められるので、それに従い支払っていくことになります。

4.養育費支払いのための債務整理も有効

前述した通り、親は生活保持義務を負っています。仮に他に借金があり養育費に割くお金がないという状況でも、養育費の支払義務がなくなることはありません。「借金があるから養育費が払えない」といった言い訳はできないのです。

とは言え、借金を返しながら養育費まで支払うのは無理があることも事実です。
養育費に回すお金が工面できないのなら、根本的な解決としては他の借金を何とかすることを考える必要があるでしょう。

そういった場合は、「債務整理」を検討してみてください。

債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」という3つの方法があります。
借金が完全に支払不能となる前の段階で着手できれば、自己破産せずに(財産を失うことなく)借金を減額することも可能です。

例えば、個人再生を利用すれば、住宅ローンの残ったマイホームがあってもこれを手放すことなく、消費者金融や銀行、クレジットカード会社などからの借金を大幅に減額することができます。
任意整理で債権者と交渉をすれば、将来利息を減額した上で3年〜5年程度の長期分割払いを認めてもらえる可能性があります。

ちなみに、債務整理をすれば借金は減額・免除されますが、滞納していた養育費が減額・免除されることはありません
養育費は「非減免債権」と呼ばれ、子の扶養義務に基づく生活や教育、監護に必要なもので、減額や免除の対象にすることが相応しくないとされているからです。

つまり、他の借金が理由で生活できないならば、債務整理でその借金を減免した上で養育費を支払う余裕を生むことが有効となるでしょう。

[参考記事]

自己破産したら養育費はどうなる?免責・減額されない?

[参考記事]

個人再生をしても養育費は減額されない(非減免債権)

借金の問題は、早期に対応することが何よりも大切です。返済が苦しいと感じたときには、できるだけ早く弁護士に債務整理をご相談ください。

5.借金がある場合の養育費の支払いも弁護士にご相談を

借金があっても養育費を払わなければならないことに変わりありません。
それならば、いっそ借金を債務整理によって整理して、養育費の支払いに注力できる環境を整えるべきと言えます。離婚後に養育費を払わないままでいると、最終的には財産の差し押さえにまで発展するリスクがあります。

泉総合法律事務所にご相談いただければ、借金問題に関しまして様々な対処法をアドバイスさせていただきます。
債務整理に関するご相談は無料となっておりますので、「借金が嵩んで養育費を払えない」「養育費を減額したお」等でお困りの方は、是非一度弁護士にご相談ください。

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