生活福祉資金を滞納!返済できない場合どうすれば良いか
「生活福祉資金」という貸し付けをご存じですか?
各自治体の社会福祉協議会が行っている、低金利もしくは無金利での貸付事業です。
新型コロナウイルス関連のニュースで「緊急小口資金」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、それも「生活福祉資金」の一部です。
この記事ではその生活福祉資金について、そして生活福祉資金を返済できない状態になったらどうすれば良いのかを解説します。
1.生活福祉資金とは
「生活保護」は皆さんご存じのとおり、経済的に困窮している人に対して支給される公的な補助のことで、返済義務はありません。
一方「生活福祉資金」は、低所得世帯や障害者世帯、高齢者世帯などに対し、無金利もしくは低金利(年1.5%~ ※現在は新型コロナウイルスの関係で無利子・保証人不要となっている場合もあります)で貸し付けを行う公的な制度のこと。
ただし、これはあくまでも「貸し付け」なので、返済義務が残るという点で生活保護の受給とは大きく異なります。
(1) 生活福祉資金の種類
生活福祉資金の貸し付けには4つの種類があります。
総合支援資金
総合支援資金は、生活を再建するまでの間の生活費である「生活支援費」や、賃貸契約を結ぶために必要な敷金などのための費用である「住宅入居費」、生活を再建するために一時的に必要な費用(技能取得、滞納公共料金など。生活費とは別)として「一時生活再建費」があります。
福祉資金
事業を営むために必要な経費や、福祉用具の購入に必要な費用が「福祉費」としてこの福祉資金に入ります。
また、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に借りられる「緊急小口資金」もこのカテゴリーです。
新型コロナウイルスの影響を受けた人は、状況によってこの借り入れを利用可能です。
なお、緊急小口資金について、詳しくは以下のコラムでも解説しています。
[参考記事]
緊急小口資金とは何?|税金を滞納していても借りられるか
教育支援資金
低所得世帯の子どもが高等学校や大学、高専などに通うために必要な資金は「教育支援費」として、入学に際し一時的に必要となった費用については「就学支度費」として借り入れ可能です。
不動産担保型生活資金
一定の居住用不動産を所有している場合、それを担保に入れて一定額を借り入れることができます。
(2) 生活福祉資金の審査
収入や経済状況によって借り入れ可能かどうかが審査されます。
基準は地域によって異なることがあるため、まずはお住まいの市区町村の「社会福祉協議会」へ問い合わせをしてみましょう。
2.生活福祉資金を返済できない場合
生活福祉資金の返済方法は口座振替です。あらかじめ申し出てあった口座から、毎月引き落としが行われます。
借り入れてからしばらくの間は「据置期間」と呼ばれ、償還の必要がありません。据置期間の長さは資金の種類ごとに異なります。
償還開始の2ヶ月前に「償還開始のお知らせ」という通知が届きますので、口座にお金を入れておくなどして、準備をしておきましょう。
もし残高不足で振替ができなかった場合、指定の「振込取扱票」が届くので、それを使って払込を行いましょう。
翌月も残高不足で振替不能となった場合、電話や手紙での確認が行われます。場合によっては民生委員が自宅に訪問してくるかもしれません。
口座の残高不足が3回続くと、自動引き落としが解除となります。ただ、これで支払が免除されることはありません。
そのまま放置してしまうと、最終償還期限の半年前に「最終償還期限到来のお知らせ」という書類が届きます。
その期限までに支払わなかった場合、その償還期限の翌日から延滞利子がどんどん加算されていくことになります。
償還せずに放置して延滞利子が付いてしまうと、「無利子または低利子」という生活福祉資金の強みが意味をなさなくなってしまうのです。
延滞利子がついても償還せずにいると、最終的には社会福祉協議会が債権回収会社に債権回収を委託することがあります。
債権回収会社は読んで字のごとく債権(貸したお金)を回収することに特化した会社ですから、裁判のような法的措置や財産の差し押さえなどを行ってくる可能性もあります。
[参考記事]
債権回収会社(サービサー)からの督促は無視厳禁!突然の通知の対処法
基本的に「生活再建のために必要なお金」として貸し付けが行われるので、その事情を知っている社会福祉協議会が厳しい取り立てをしてくることはめったにありませんが、債権回収会社への委託後は裁判などを起こされる可能性もあります。
3.生活福祉資金が返済できない場合の対処方法
(1) 社会福祉協議会に相談する
災害や新型コロナウイルスの影響で生活が厳しいなど、やむを得ない事情で償還が難しい場合、借り入れの手続を行った市区町村の社会福祉協議会に相談しましょう。
所定の手続や審査を経て、償還の一時猶予や免除など、柔軟に対応してもらえる可能性があります。
(2) 時効援用
借り入れたのがずっと昔で、かつ償還もずっとしていない場合、消滅時効となっている可能性があります。
放置していた年数や相手からの督促の有無、債権回収会社への委託時期などによって時効の起算点が異なるため、法律的な専門知識が必要です。
また、時効は「所定の期間が過ぎていたらそれだけでもう返さなくていい」というものではなく、「この件について、時効を援用します」という旨の通知を相手に送る必要があります。
その書き方や発送方法についても、法律に詳しくない人が自分で行うのは難しいといえます。
対応を間違えてうっかり「きちんと払います」などと言ってしまうと、「承認」と言って借り入れがあることを認めることになるので、「時効を援用します」と言えなくなってしまいます。
必ず弁護士へ相談しましょう。
[参考記事]
時効の援用のおすすめ依頼先|弁護士・司法書士・法テラス・自分で?
4.生活福祉資金の滞納についてのまとめ
新型コロナウイルスの影響を受け、仕事を辞めざるを得なくなったり、仕事が減って収入が減ってしまったりした人は少なくないことでしょう。
社会福祉協議会から借り入れた生活福祉資金を返済する余裕もない人は、ぜひ一度市区町村の社会福祉協議会へ相談してみてください。
ただし、時効になるかも?と思ったときは、先に弁護士へ相談したほうが良いでしょう。
弁護士ではなくご自分で債権者(債権回収会社など)と話をしてしまうと、「時効を狙っている」と思われてしまい、念書を書かされるなどの対抗策を取られかねません。
生活福祉資金を含め、借金の返済にお困りの方はぜひ一度弁護士へご相談ください。
消費者金融などからの借金は、債務整理で解決できる可能性もあります。借金に関するご相談は何度でも無料ですので、遠慮なくご連絡いただければと思います。